物質的世界では全てのものが移ろいゆきます。私たちの体も常に変化していますが、その変化は細胞レベルによるものなので、通常私たちはそれに気がつきません。古い細胞が似たような新しい細胞に入れ替わるといった微小な変化なので、あたかも何も変わっていないかのように感じます。

変化を感じるには、変化を観察する側が変わらないことが必要です。観察する側にも変化が起きていると、観察される側の変化に気づきません。私たちは一瞬一瞬や日々の体の変化には気づかなくても、長い間には年老いたことを自覚するようになります。体は成長し、衰えていきます。しかし、観察者としての自分が変わったとは感じません。今の自分は数年前の自分と同じだと感じています。もし同じでなかったら、自分の過去を覚えていないでしょう。体の変化を観察している自分は、観察されている体とは別のものである証です。ただ、自分と体が別のものであることに気がつかないだけなのです。

アーユルヴェーダでは、人生の目的は自分の本質を知ること、つまり自分は肉体ではないということに気づくことだと言います。この気づきのプロセスを「サーダナ」といいます。サーダナを文字通りに訳すと「バランス」です。健康的にも物質的にも満ち足りた状態になるためには、バランスのとれた生活を送る努力が必要です。アーユルヴェーダが定義する健康とは、ドーシャ、消化の火、ダートゥ、マラ(老廃物)のバランスがとれていて、さらに心が平安な状態にあることを指します。サーダナの成功にはこのバランスが欠かせません。

しかし、私たちの日常をとりまくあらゆる物事はバランスの崩れをもたらします。食べる物、聞こえる音、見える物、体に触れる空気さえも私たちの内部に変化を引き起こします。そのためアーユルヴェーダは、地に足をつけたような安定性と健康を保つ方法として、日々の行いと季節の行いを勧めています。

冬季は環境に大きな変化があり、私たちの健康と精神状態に影響します。空気は冷たく乾燥し、夜は長く、そして寒くなります。健康を保つためには食事やライフスタイルに配慮する必要があります。冬はサーダナに多くの時間を使える絶好の季節です。夜が長く寒いので外出が減り、自分をみつめる時間ができるからです。感覚や感情から離れて自分を観察する絶好の季節です。人間は「寒い」と感じる肉体とは別の存在であることに気づく機会を冬は与えてくれます。

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