7月に「スピリチュアル・アーユルヴェーダリトリートとヴェーダの智慧セミナー」のために来日するDr.サトヤナラヤナ・ダーサが、ヴェーダ心理学の観点から「嗜癖・依存症に関する質問」に答えています。以下はその抄訳です。

 

Dr.サトヤナラヤナ・ダーサはヴェーダ哲学者でありスピリチュアル・グルです。Dr.サトヤナラヤナ・ダーサの来日スケジュールはこちらです。http://www.jivajapan.jp/seminar/2335.html

 

【質問】

僕は深刻なポルノ、マスターベーション、過食依存症です。僕の歴史は嗜癖からの脱却と再発の数えきれないほどの繰り返しです。いまも再発が始まろうとしています。この嗜癖は僕の心のエネルギーを枯渇させます。僕はふつうの子供時代を過ごしたので、どうしてこうなったのかわかりません。父親は乱暴な言葉使いをする人でしたが、僕のためにと思った時にしか僕に手を上げませんでした。だから父の行動が僕の嗜癖の原因とは考えられません。僕の前世のカルマと関係しているのかと思ったりもします。小さいころから依存癖があります。現在は34歳で、妻と息子がいます。あまり人に打ち解けず、一人でいるのが好きなタイプです。まわりの人々は僕のことをちゃんとした人間で、真っ当な行動をしているヤツと思っていますが、実際にはこの嗜癖によって心は汚れています。僕には意志力がまったくないと思うことがよくあります。この束縛から永遠に解放されるためにはどうしたらいいのでしょうか。僕に希望はあるのでしょうか。

 

【Drサトヤナラヤナ・ダーサの答え】

一般にタブーとされている問題についてよく相談してくれました。口には出さないけれど、同じ問題に苦しみ、罪意識を持っている人はたくさんいます。依存症をうまくコントロールできるようになるために重要なことは、あなたは自分にやさしい人だということを理解し、自分がしたことを受け入れることです。自分の感情を扱うためにその時点で知りうる限りの最善のことをしたのですから。あなたは大丈夫です。汚れた人間などではありません。あなたはこの繊細な問題を公言した勇気ある人です。真実を知りたいというひたむきさは称賛に値します。

 

私達は「自分は体だ」と思っているとき、体の歓びを求めます。食べ物とセックスは最大の歓びです。人は不幸を感じているとき、たくさん食べます。セックスへの渇望は心の乱れの反映です。心があなたを悩ませているから過剰なセックスを求めるのです。皮膚にかゆみを感じたら、掻く必要が出てくるのと同じです。セックスは足裏のトゲのようなものです。トゲを抜いたら幸せな気分になります。しかし、それは本当に幸福なのでしょうか。幸福なのではなく、痛みを取り除いただけです。つらさがなくなっただけに過ぎないのに、これが幸福だと感じるにすぎません。その思い違いは混乱にしかすぎません。

人間の人生は思考と欲望以外の何物でもありません。人間の意志決定は欲望に基づいています。何かのニオイを嗅いだとします。それを食べたくなって食べます。自分が食べる決定を下したと思っているかもしれませんが、そういう行動に走らせているのは過去に刻まれた印象です。過去の記憶が強ければ強いほど欲望は強くなり、それに抗うことはむずかしくなります。欲望は感覚器官を盗む泥棒のようなものであり、泥棒に入られたあとには財産がなにも残っていないようなものです。スピリチュアリティーを追求するエネルギーは残っていないのです。しかし、依存症はあなた自身よりも強くはありません。あなたが嗜癖に陥ったのと同じように、嗜癖から脱却することもできるのです。

 

嗜癖(依存症)から解放されるためには、心を観察することが大切です。スピリチュアリティーは心をみつめ、心をコントロールし、過去の記憶が自分をコントロールしないように、心に刻まれた過去の印象を制御することから始まります。しかも、私たちは自分の心、自分の思考や感情に気づいていません。思考や感情は自然に生まれ、私たちは機械的にそれに従っているだけです。

子供時代の虐待の経験は、自分は無価値な人間と感じさせ、怒りや空虚感をもたらします。その空虚感を埋めるために食べ物やドラッグやセックスや物欲に走ります。自分は体だと誤認識し、体を喜ばせようとします。それはちょうど、豆とチャパティを車の燃料だと思って、ガソリンタンクに入れるようなものです。いくら豆とチャパティをガソリンタンクに入れても車は動きません。依存症も同じです。何かを手に入れ続けても、決して満足することはありません。どんなにたくさんの食べ物を食べても、どんなにたくさんのポルノをみても、無価値感や空虚感は消えません。空虚感が強まれば強まるほど、嗜癖は強まります。空虚感は物質で埋めることはできません。なぜなら、空虚感は愛の欠如と関係しているからです。心の空虚感を取り除く最善の方法は魂を満足させることです。

 

【練習してみよう!】

依存症からの脱却にはいくつかのステップがあります。ゆっくりと徐々に進めていきます。第一のステップは、自分の心について完全に気づきを得ることです。とくに嗜癖に突き動かしている思考と感情を直視します。たとえば、次の方法で行ってみてください。

1. 過食、ポルノ、マスターベーションの欲求が抑えがたくなったら、今していることを止め、紙とペンを用意します。目を閉じてリラックスします。腹式呼吸を3回行います。

 

2. 自分の思考をみつめ、次の質問への答えを紙に書きます。 -その欲望について心はなんと言っているのか。 -心は今すぐに何をしたいのか。 -その理由は何か。(心はどうやって欲望に応答するようにあなたを説得するのか) -この欲望を駆り立てる感情はなんなのか。具体的に感情を書きだす。

 

3. 次に、欲望のままに行動する。過食の欲望なら思いっきり食べる。ここで大切なことは、過食中の自分の思考と感情をみつめること。そのために次のことを行います。

-過食している最中の自分を鏡でみる。

-詳細に自分を観察する。

-過食中の自分の思考をノートに書きとる。

-過食中の自分の感情をノートに書きとる。

 

4. 一連の作業が終わったら、ノートを読み返し、介入ポイントがあるかどうか探る。言い換えるなら、思考や感情面でなにか違ったポイントがあるか、そして次回欲望が高まったときに、それを抑えることができるヒントになるポイントがあるかどうかを探す。

5. 次に依存欲求が起きたときに、自分自身に語りかけることができる新しい思考を書きだす。

 

例を挙げてみよう。たとえばこう書く。「私の心は汚れていると思っていて、嗜癖を止める努力を何度も繰り返してきた。でもだめだった。どうせ誰も気にしてくれていないのだから、このまま食べ続けよう」 そして、違う考え方を自分に語りかける。「自分には価値がないと感じ、その空虚感を埋めるために食べ物を食べていたけれど、それが役に立たないことを知っている。魂を満足させる別の方法を試してみよう。たとえばキルタンを歌うとか、経典を読むとか」 古い欲望に反応しなければ、徐々に消えていきます。このような方法で心を制御できるようになると、新しい習慣が生まれます。やがて心は強くなり、自動的に魂を満足させる道を選ぶようになります。