アーユルヴェーダは漢方にも影響を与えたと言われるほど伝統的な医学体系です。その世界は漢方に劣らぬ広大なもの。その中心はハーブ(生薬)による療法ですが、体内から毒素を排泄する療法もアーユルヴェーダを特徴づけています。この毒素排泄法がパンチャカルマといわれる療法です。西洋医学において手術の前に前処置があるように、パンチャカルマにも前処置があります。その一つがオイルマッサージです。体内にこびりついた毒素(アーマ)を浮き上がらせるのが目的ですが、オイルマッサージ自体が一つの療法なのです。インドのケララ州は独自のマッサージ技法を発展させてきました。


インドの南端に位置するケララ州にソマティーラム・アーユルヴェーダ・ビーチリゾートがあります。名前が示すとおり、アーユルヴェーダのオイルマッサージを施してくれるビーチリゾートです。目の前はどこまでも続くインド洋の青い海。紅い花が咲き乱れるリゾートで、さっそくオイルマッサージを受けることにしました。まずはアーユルヴェーダ医による問診でマッサージのプログラムを決めます。宿泊日数が限られていたため、若返りトリートメントを受けることにしました。若返り療法は「ラサーヤナ」と呼ばれ、アーユルヴェーダの主要8部門の一つを形成しています。若返りといっても60歳の顔が20歳になるという意味ではなく、いくつになっても自分のことは自分でできるように、体力と知力を維持するための細胞活性療法です。
1日2時間、5日間のプログラムとして、全身オイルマッサージ、シローダーラ、スチームバス、フェイスパック、さらにインドに行く前から頭の重さと鼻つまりがあったので、ハーブによる吸入を組み合わせることにしました。アーユルヴェーダのオイルマッサージは、薬用オイルの体内への浸透と筋肉のマッサージが目的なので、力をいれてガシガシとマッサージします。むかしはレスラーがマッサージをしたと言われています。ケララ州ではそれがフットマッサージという形で発達してきました。フットマッサージは足をマッサージするのではなく、足によるマッサージです。マッサージを受ける人は床に敷いたマットに寝ます。マッサージを施す人は片足で立ち、もう一方の足でマッサージするのですが、天井からつるした紐を握って、体のバランスをとりつつ、体重のかけ方をコントロールするのです。手によるマッサージとは異なるしっかり感です。
手によるマッサージと足によるマッサージを2時間も続けると、運動をしたあとのようにぐったりしつつも、さわやかになります。1日目はぐったりして食事のあと早々に寝てしまいました。これが3日目から体が軽くなり、日本を発つ前から続いていた頭の重さと鼻つまりがなくなりました。消化もよくなったことは、朝のタングスクレーパーによる舌の掃除でも一目瞭然でした。アーユルヴェーダ・マッサージの効果を実感した旅でした。
自宅でもマッサージ:オイルは3分程度で体内に浸透していくと言われています。オイルは体内の毒素を浮き上がらせる効果と同時に、ヴァータを鎮める効果もあります。腰痛や筋肉痛には抜群に効き目があります。毎日のオイルマッサージは老化を防ぎ、体の疲労を取る効果があります。皮膚に張りが出て、ストレスに対する抵抗力も高まります。ヴァータが高まる高齢者にはぜひお勧めしたい療法です。自宅でオイルマッサージをするときには、床に新聞紙を敷くとよいかもしれません。薄く塗るのではなく、思い切ってたっぷり塗ってください。15分くらいマッサージしたあと15分くらいそのままにします。ゆったりした音楽をかけながらマッサージすると、リラクゼーション効果もあります。古布でオイルをふき取ると便利です。布はそのまま捨てればいいし、体はべたべたしません。