アーユルヴェーダは病気を治療する医療であると同時に、健康を維持するためのパブリックヘルスの役割を担っています。パブリックヘルスとは「公衆衛生」という意味ですが、あまりにも堅い言葉でイメージが湧きませんね。みんなの健康」という言葉に置き換えてはどうでしょうか。


体は物質である以上、必ずガタがきます。ガタが来る速度を遅くしてくれる智恵がアーユルヴェーダです。地域住民の体のガタがくるペースを遅くできれば、病人の数が減り、社会全体の元気度が増します。もちろん、アーユルヴェーダが取り扱うのは体だけでなく、心と魂も取り扱うことは言うまでもありません。

 
アーユルヴェーダは「未病」のレベルで素晴らしい効果を上げます。ちょっとした智恵の実践で「みんなの健康度」が格段にアップします。たとえば白湯を飲む習慣。これだけで便秘が解消し、平熱が上昇します。便秘と低体温は万病のもとですから、これを改善するだけでたくさんの病気を予防することができます。

 

生徒さんから聞いた実例です。ある人が腕の湿疹に悩んでいました。気温が温かくなると湿疹ができ、痒みもありました。生徒さんはココナッツオイルを塗ることを勧めました。その結果、かなり改善しました。この人は職業がら埃や熱や化学製品にさらされているそうで、そのためピッタの増悪が考えられました。ピッタの増悪による皮膚トラブルにはココナッツオイルを塗るとよいのです。もしアーユルヴェディックな対応ではなく、ステロイドなどのクスリを塗ったとすればどうなるでしょうか。一時的には改善するかもしれませんが、やがてさらに悪化する可能性があります。この方はつねに埃や熱や化学製品にされされているのであれば、血液がピッタでよごれていることも推測できます。 血液はピッタの首座ですから。 血液のデトックスをすれば症状はさらに改善することが期待されます。

 
この例にみられるように、アーユルヴェーダの「未病」対応は反動や副作用がありません。ちょっとした智恵の実践が不調を大きく改善してくれます。

 

ここで1点補足すると、皮膚トラブルのすべてがピッタの増悪に関係しているわけではありません。高齢者の肌の痒みはピッタの増悪というより、ヴァータの乾燥によるものです。その場合にはココナッツよりごま油のほうがいいかもしれません。カンジタ菌による痒みだったらココナッツオイルのほうがいいでしょうし、痒みの原因を見極める必要があります。アーユルヴェーダを「みんなの健康=パブリックヘルス」の維持に取り入れましょう。